先生がやりがいを感じる瞬間
治療をした患者さまからお礼の言葉をいただいたときです。
以前、ある男性の患者さまがいました。持病をお持ちの方で、血液のがんの患者さまです。そのため細心の注意で治療を行っていました。
それでも定期的に通ってくれて、「先生、この病気が良くなったら良い歯を入れてくださいよ」と、よく話していました。しかし、ある時からその方がぱたりと姿を見せなくなりました。気にはなっていましたが、私も忙しい時期でしたので、そのままになっていました。
それから2年くらいして、男性の娘さんがごあいさつに来られ、男性が亡くなられたことを知りました。娘さんの話では、「あの歯科医院の先生に励まされている。だから抗がん剤の治療にも耐えられるんだ」と話していたそうです。その言葉を聞いて涙が出ました。力になれたか分かりませんが、その患者さまの言葉は、私にとってやりがいとなっています。