小児歯科の専門としても治療をされているかと思いますが、お子さまの治療を専門に行われるきっかけなどあれば教えてください。
大学で博士号を取る時に、小児歯科の教室に在籍したということがきっかけなんですが、そもそも、子どもの治療をやるということは、ものすごく長いスパンで見た時に、「予防」につながるんですね。小さなころからの食習慣、ブラッシング習慣というのは、その後、長い人生の中で虫歯予防に絶大な影響を持つんですよ。でも、それぞれのご家庭に、僕が毎日歯ブラシをしにいくわけにはいかないでしょう。だから、早い段階で正しいケアの方法を子どもさんにも、ママさんにも理解していただいて、実践していただくということが、すごく大事だと思っているわけです。特に小さなお子さんの場合は、子どもはママのやることを真似るわけですよね。だから、我々はママさんのための啓蒙をしていかないと思っていて、そこはいつも重視していますね。ママさんがしっかりした知識を持てば、子どもだけではなく、旦那さん、おじいちゃんおばあちゃんの歯の健康にもつながっていくんです。
だから、治療って「目の前にあるもの」を治して終わりじゃないんです。今後歯医者で、(虫歯の治療という)不愉快な目にあわないためには、どうすればいいのか、ということなんですよ。そのためには、歯医者だけがどんなに頑張ってもダメなんです。歯医者に「丸投げ」じゃなくって、「みなさんが一緒に参加する」ということが、予防歯科においてはすごく大事なんです。それが、美味しいものを、末永く食べるための、第一の秘訣でもあるんでしょうね。