保存治療が得意ということですが、歯を残せることの大事さとは先生ご自身はどのようにお考えでしょうか?
食べ物の美味しさを感じるのは、味だけはありません。歯で感じる感覚、食感も食事の味のひとつです。たとえば総入れ歯にした場合ですと、食べ物を噛んだ時の噛み心地は、ご自身の歯で噛んだ時とかなり違います。また、食べ物の温度も感じにくくなります。冷たいアイスクリームを食べても、歯や歯茎が冷たいと感じにくくなってしまうのです。それでは美味しさも半減だと言えるのではないでしょうか。自分の歯を残すということは、食生活の大きな楽しみを失わない、ということなのです。8020運動というのを聴いたことはないでしょうか?これは「80歳になったときに歯を20本残せる口内環境を作ろう」というもので、若いうちから歯をきちんとメンテナンスしましょうという啓蒙運動です。歯は、患者さまの長い人生を豊かにすることができます。できるだけ残していく治療をすることで、患者さまの未来の楽しい食卓を守ることができると考えています。