初めて来た患者さんに対して心がけていることがあれば教えてください。
患者様のお口のどこに問題があるのか、しっかり探るようにしています。患者様が感じている違和感や痛みと、実際のお口の状態には往々にしてギャップがあるためです。そのため、患者様が痛みを訴えられたからといって、すぐに治療することはありません。たとえば、下の親知らずが痛いという場合ですが、上の親知らずが下に噛み込んで来ている場合があります。患者様本人としては、痛みのある下から抜いてほしいところではありますが、まず上から抜いて、次に下を抜く、というのがベターだと提案することもあります。もちろん痛みが激しい場合は、抜歯という選択肢になることもあります。
患者様にとって最善の状態とは何かを提示し、そこまでどのような過程を経て持っていくのかをしっかり探り説明する。お口だけという部分的なものではなく、現在の状態や未来を見据えた広い視点で患者様と接することが大切だと思っています。なお、こうした考え方と、それにもとづく対応は、何も初めて来院された患者様だけに行なう特別なものではありません。すでに通院されている患者様に対しても都度同じことを行ない、最善の治療を探っていくようにしています。